「私はエピクロス派である。エピクロスの真の教義(誤って伝えられたものではなく)は、ギリシャ人やローマ人が私たちに遺した道徳哲学の中で、理性的なすべてを含んでいると考える」

- 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領
英文
“I am an Epicurean. I consider the genuine (not the imputed) doctrines of Epicurus as containing everything rational in moral philosophy which Greek and Roman leave to us.”
日本語訳
「私はエピクロス派である。エピクロスの真の教義(誤って伝えられたものではなく)は、ギリシャ人やローマ人が私たちに遺した道徳哲学の中で、理性的なすべてを含んでいると考える」
解説
この言葉は、ジェファーソンが古代哲学の中でも特にエピクロスの思想に強い共感を寄せていたことを明示している。彼は「快楽主義者」という誤解を受けがちなエピクロス派を、誤解されてきた印象から切り離し、その本質にある理性と節度を評価していた。ここで言う「genuine doctrines」とは、節度ある快楽、心の平安、自然との調和を追求する生き方であり、「imputed doctrines」は誤って「放縦な快楽主義」と解釈された見方を指す。
ジェファーソンは啓蒙主義の精神に深く影響されており、宗教よりも理性と自然法を重視する倫理観を持っていた。エピクロス哲学は、神の恐れや死の不安から自由になり、心の平穏(ataraxia)を得ることを人生の目的とする思想であり、ジェファーソンの合理主義的な世界観に合致していた。この名言は、彼が古代哲学を単なる教養ではなく、実際の道徳的指針として取り入れていたことを示す。
現代においても、「快楽=刹那的享楽」という誤解がある中で、この言葉は真のエピクロス主義の価値を再評価させるものである。理性をもって節度ある幸福を追求する生き方こそが、個人の自由と心の充足を実現する道であるという、普遍的な哲学的立場がこの名言には込められている。
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