「武力は専制政治の根本原理にして、最も直接的な親である」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

”Force is the vital principle and immediate parent of despotism.”

日本語訳

「武力は専制政治の根本原理にして、最も直接的な親である」

解説

この名言は、権力が暴力に依存することは、専制の始まりにほかならないというジェファーソンの明確な政治的警告である。彼は、統治の正当性は理性と合意に基づくべきであり、武力によって支えられた支配は必ずや自由を損ない、圧政に転じると強く主張した。

「vital principle(根本原理)」と「immediate parent(直接的な親)」という語句の使用は、暴力が専制を偶発的にではなく、必然的に生み出す構造的原因であることを強調している。つまり、力による支配は、制度の腐敗や民意の無視を招き、やがて法の支配すら形骸化させる。ジェファーソンは、これを避けるためにこそ、権力の分立、市民の自立、そして理性による統治が不可欠だと考えた

現代においても、この言葉は軍事力や警察力による統治、国家による暴力的介入、暴力的抗争の正当化といった問題に対する鋭い批判として生きている。力は正義の代替とはなりえず、力に依存した時点でそれは自由の敵となる。ジェファーソンのこの一文は、自由社会を守るためには、暴力ではなく対話と制度こそが中心であるべきだという不動の信念を、簡潔かつ力強く表現している。

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