「宗教における意見の相違は有益である。複数の宗派が互いに検閲官の役割を果たすからだ」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

“Difference of opinion is advantageous in religion. The several sects perform the office of a Censor — over each other.”

日本語訳

「宗教における意見の相違は有益である。複数の宗派が互いに検閲官の役割を果たすからだ」

解説

この言葉は、宗教的多様性が健全な監視と均衡の役割を果たすという、ジェファーソン独自の宗教観を示している。彼は特定の宗派や教義が支配的になることを警戒し、権力との結びつきによって宗教が腐敗し、個人の自由を侵害する危険を理解していた。そのため、異なる宗派が互いに対立しつつも牽制し合う状態こそが、宗教的専制を防ぐ構造になると考えていた。

この思想は、ジェファーソンが関与したヴァージニア宗教自由法(1786年)にも反映されている。彼は宗教の自由を国家が保障すべきと考えただけでなく、宗派間の多様性そのものが権力集中を防ぐ民主的装置として機能すると捉えていた。つまり、統一ではなく多様性こそが自由の守護者であるという、逆説的ながら実践的な発想である。

現代社会においても、宗教的な一元支配や強制が人権侵害を生む場面は多く見られる。ジェファーソンのこの言葉は、異なる意見や信仰が共存することの価値と、それが自由の土台となるという視点を提供してくれる。対立があるからこそ健全な批判と監視が生まれ、自由と信仰の両立が可能となるという知恵が、ここに凝縮されている。

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