「身体の衰えは将来を思えば陰鬱だが、人間のあらゆる想像の中で最も忌まわしいのは、精神を失った肉体である」

- 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領
英文
”Bodily decay is gloomy in prospect, but of all human contemplations the most abhorrent is body without mind.”
日本語訳
「身体の衰えは将来を思えば陰鬱だが、人間のあらゆる想像の中で最も忌まわしいのは、精神を失った肉体である」
解説
この言葉は、老いによる肉体の衰弱よりも、精神の喪失のほうが遥かに恐ろしいという哲学的な洞察を示している。ジェファーソンは、身体的な変化や死の不安は避けがたいが、思考し判断する力を失った状態――つまり精神なき肉体の存在――を何よりも忌むべきものと考えた。
背景には、理性と知性を人間の本質とみなす啓蒙主義の思想がある。ジェファーソンにとって、「人間らしさ」は肉体ではなく精神活動に宿る。したがって、たとえ肉体が生きていても、思考する力が失われればそれは人間性の終焉であり、存在そのものが虚しくなるという厳粛な認識が込められている。
現代では、高齢化社会や認知症の問題とも重なり、この名言はなお強い共感を呼ぶ。延命措置や終末期医療の在り方において、「生きるとは何か」「人間らしさとは何か」という問いが突きつけられる時代にあって、精神の尊厳と人格の保持がいかに重要かを深く考えさせる言葉である。身体だけの存在ではなく、心と共に生きることこそが人間の尊厳であるという信念が、静かに、しかし強く響いている。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「トーマス・ジェファーソン」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い