「権利章典とは、すべての政府に対して人々が当然持つべきものであり、正当な政府がそれを拒んだり、暗黙の了解に頼ったりしてはならないものである」

トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
トーマス・ジェファーソン(画像はイメージです)
  • 1743年4月13日~1826年7月4日(83歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、思想家、第3代アメリカ合衆国大統領

英文

“A Bill of Rights is what the people are entitled to against every government, and what no just government should refuse, or rest on inference.”

日本語訳

「権利章典とは、すべての政府に対して人々が当然持つべきものであり、正当な政府がそれを拒んだり、暗黙の了解に頼ったりしてはならないものである」

解説

この言葉は、明文化された基本的人権の保障の必要性を力強く訴えている。ジェファーソンは、どれほど善良に見える政府であっても、権力の性質として濫用の危険は常に存在すると考えていた。そのため、政府の性善説に依存するのではなく、市民の権利を明確に文書として保障する「権利章典(Bill of Rights)」が不可欠であると主張したのである。

この発言は、アメリカ合衆国憲法の批准をめぐる論争の中で述べられたもので、憲法には明示的な人権保障が必要であるという反連邦主義者の立場を代表している。ジェファーソンはフランス滞在中にこの問題に関心を寄せ、「推測(inference)」ではなく明文によって権利を守るべきだという強い信念を示した。この考えは後にアメリカ合衆国憲法修正第1条から第10条にかけての「権利章典」制定に大きく寄与した。

現代においても、基本的人権が「当然あるもの」として軽視されたり、法の解釈に委ねられたりする場面は少なくない。この名言は、権利の保障は制度上の明文化によってこそ守られるものであり、あいまいな解釈や善意に依存してはならないという原則を力強く訴えている。自由と正義は保証されるものであり、与えられるものではないという思想が、この一文に込められている。

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