「戦争とは単に戦闘や戦う行為そのものではなく、戦闘によって争おうとする意思が十分に知られている一定の期間を指す」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”War consisteth not in battle only, or the act of fighting; but in a tract of time, wherein the will to contend by battle is sufficiently known.”

日本語訳

「戦争とは単に戦闘や戦う行為そのものではなく、戦闘によって争おうとする意思が十分に知られている一定の期間を指す」

解説

この言葉は、ホッブズが戦争の本質を単なる戦闘行為に限定しなかったことを示している。彼にとって戦争とは、武力の衝突そのものではなく、互いが敵意を持ち戦う意思を示している状態そのものであった。したがって、実際に戦闘が行われていなくとも、戦う意思が明確であれば、それはすでに戦争状態とみなされるのである。

この定義は、イングランド内戦を経験したホッブズの現実認識に根ざしている。武力衝突の合間に停戦や休戦があっても、互いに敵意を保持している限り、社会は依然として不安定で危険な状態にある。ホッブズは、戦争を一時的な戦闘ではなく、恒常的な敵対関係の継続と捉えることで、その恐怖と不安定さを強調した。

現代においても、この視点は有効である。冷戦のように直接的な大規模戦闘がなくても、軍拡競争や外交的敵対が続けば、それは事実上の「戦争状態」と言える。ホッブズの言葉は、戦争を広く定義することで、平和とは単に戦闘がない状態ではなく、敵意や対立の意思が解消された状態であることを示唆しているのである。

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