「理解とは、言葉によって引き起こされる概念にほかならない」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”Understanding is nothing else than conception caused by speech.”

日本語訳

「理解とは、言葉によって引き起こされる概念にほかならない」

解説

この言葉は、ホッブズの言語と認識の関係に関する独自の見解を示している。彼は、理解を人間の理性や直観の働きとして捉えるのではなく、言葉によって生じる概念操作として説明した。すなわち、人間は言語を通じて概念を結びつけ、そこから理解が成立するというのである。

この思想は、17世紀における経験論的・唯物論的な知識観に基づいている。ホッブズは心的活動を物理的運動に還元しようとし、認識もまた言語に媒介される現象として捉えた。彼にとって言葉は単なる表現手段ではなく、思考そのものを可能にする道具であり、社会的秩序や科学的知識の基盤でもあった。

現代においても、この言葉は哲学や認知科学に通じる示唆を持つ。言語相対論や認知言語学は、思考が言語に依存する度合いを探究している。ホッブズの洞察は、理解が個人の内面的直観だけでなく、言語という共有の体系を通じて成立することを強調し、人間の知識形成の社会的側面を先取りしていたのである。

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