「人間の秘められた思考は、聖なるものから俗なるもの、清浄なものから卑猥なもの、重大なものから軽薄なものに至るまで、恥も咎めもなく駆け巡る」

- 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
- イングランド出身
- 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者
英文
”The secret thoughts of a man run over all things, holy, profane, clean, obscene, grave, and light, without shame or blame.”
日本語訳
「人間の秘められた思考は、聖なるものから俗なるもの、清浄なものから卑猥なもの、重大なものから軽薄なものに至るまで、恥も咎めもなく駆け巡る」
解説
この言葉は、ホッブズが人間の思考の自由と内面の無制約性を示したものである。心の中でめぐらす思考は、社会的規範や道徳による制約を受けず、聖俗や善悪を超えて自在に広がる。つまり、人間は内面においては完全な自由を持ち、そこに恥や罪の概念は存在しないと説いている。
この洞察は、ホッブズの経験主義的・唯物論的な人間観に根ざしている。彼は言葉や行為によって社会的規律は成立するが、思考そのものは他者に制御され得ないと考えた。17世紀のヨーロッパでは宗教的権威が人々の心を縛ろうとしたが、ホッブズは内面的な思考の領域まで統制することは不可能だと冷静に見抜いていたのである。
現代においても、この言葉は自由と検閲の問題を考えるうえで重要である。人は表現や行為に制約を受けるが、心の中の思考は誰にも縛れない最後の自由領域である。ホッブズの言葉は、人間の精神が持つ根源的な自由を示すと同時に、その思考が外に現れるとき初めて評価や批判の対象となることを教えているのである。
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