「自然権とは…各人が自らの力を用いて、自らの意志のままに自らの本性、すなわち自らの生命を保持する自由である」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”The right of nature… is the liberty each man hath to use his own power, as he will himself, for the preservation of his own nature; that is to say, of his own life.”

日本語訳

「自然権とは…各人が自らの力を用いて、自らの意志のままに自らの本性、すなわち自らの生命を保持する自由である」

解説

この言葉は、ホッブズの政治哲学の基盤である自然権の定義を示している。彼にとって自然権とは、人間が生まれながらに持つ普遍的な権利であり、究極的には自己保存のための自由に他ならない。つまり、人は生き延びるためには自分の力をいかなる形でも行使する正当性を持つと考えられた。

この思想は、17世紀の内戦と無秩序を背景としている。国家権力が分裂し、人々が不安定な状況に置かれる中で、ホッブズは人間が自然状態においては万人の万人に対する闘争に陥ると説いた。その出発点となるのが、この自然権の理解である。無秩序の状態では、各人は自己保存のためにあらゆる手段を行使する権利を持つが、それは同時に終わりなき対立を生むのである。

現代においても、この概念は政治思想や国際関係に影響を与えている。個人の自己決定権や国家の安全保障政策は、いずれも生存のための権利に根ざしている。ホッブズの言葉は、人間社会の秩序と権利の基盤を理解するうえで、今なお重要な指針となっているのである。

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