「教皇権とは、滅びたローマ帝国の亡霊にほかならず、その墓の上に冠を戴いて座しているのである」

- 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
- イングランド出身
- 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者
英文
”The Papacy is not other than the Ghost of the deceased Roman Empire, sitting crowned upon the grave thereof.”
日本語訳
「教皇権とは、滅びたローマ帝国の亡霊にほかならず、その墓の上に冠を戴いて座しているのである」
解説
この言葉は、ホッブズがカトリック教会の政治的性格を批判的に描写したものである。彼にとって、教皇権は単なる宗教的権威ではなく、ローマ帝国の崩壊後もその統治的影響を保持し続けた存在であった。つまり、帝国が滅びても、その制度や権威は形を変えて教皇制度に受け継がれ、帝国の亡霊のようにヨーロッパを支配したと論じたのである。
この見解は、『リヴァイアサン』第4部「暗黒の王国」における教会批判に由来する。17世紀のヨーロッパでは宗教権威と世俗権力が複雑に絡み合い、カトリック教会が政治的影響力を維持していた。ホッブズは、宗教権威が世俗政治を支配することは秩序を乱す要因だと考え、主権者の下に宗教も服従すべきだと主張した。
現代においても、この言葉は宗教と政治の関係を考えるうえで示唆に富む。宗教的権威が歴史的遺産や象徴を通じて政治に影響を及ぼすことは今なお見られる。ホッブズの言葉は、教会を歴史的帝国の延長として捉え、宗教権威と政治権力の境界を問い直す鋭い批判であり、世俗国家の正統性を考える基盤となっているのである。
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