「人間の本性とはそのようなものである。自分より機知に富む者、雄弁な者、博識な者が多くいることは認めても、自分と同じほど賢明な者が多くいるとはなかなか信じようとしない」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”Such is the nature of men, that howsoever they may acknowledge many others to be more witty, or more eloquent, or more learned; yet they will hardly believe there be many so wise as themselves.”

日本語訳

「人間の本性とはそのようなものである。自分より機知に富む者、雄弁な者、博識な者が多くいることは認めても、自分と同じほど賢明な者が多くいるとはなかなか信じようとしない」

解説

この言葉は、ホッブズが人間の自己評価の偏りに着目した洞察を示している。人は知識や才能の分野では他者を優れていると認めることができても、賢明さや判断力においては自分を基準にして過大評価する傾向がある。つまり、人間は理性に関して自分を特別視する性質を持つという心理的特徴を指摘しているのである。

この考えは、ホッブズが『リヴァイアサン』で描いた人間観の一部であり、平等主義的な要素を含んでいる。人は皆、自分の判断力を過信するため、誰もが他者に服従することを望まず、結果として対立や競争が生まれる。ホッブズはこうした心理的平等性こそが「万人の万人に対する闘争」を生む要因の一つだと論じた。

現代においても、この洞察は妥当である。例えば、社会調査では多くの人が「自分の判断は平均より優れている」と信じる傾向が確認されている。ホッブズの言葉は、人間が自らの知恵を過信することで協調を難しくし、争いを生む根源になることを示しており、謙虚さと自己認識の重要性を改めて考えさせるものである。

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