「思慮とは経験にほかならず、平等な時間が、人が等しく取り組む事柄においては、等しくすべての人に授けるものである」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”Prudence is but experience, which equal time, equally bestows on all men, in those things they equally apply themselves unto.”

日本語訳

「思慮とは経験にほかならず、平等な時間が、人が等しく取り組む事柄においては、等しくすべての人に授けるものである」

解説

この言葉は、ホッブズが思慮(プルーデンス)を特別な才能ではなく経験の蓄積と捉えたことを示している。彼にとって、知恵ある判断は先天的な資質よりも、時間をかけて得られる経験の成果であった。したがって、同じ対象に同じ努力を注ぐならば、人は誰でも同程度の思慮を獲得できると論じている。

この発想は、貴族的教養や血統を重視する時代において革新的であった。17世紀のイングランド社会では、知恵や判断力は特権階級に固有のものとみなされがちであったが、ホッブズはそれを普遍的に獲得可能な能力と考えた。ここには、彼の合理主義と経験主義的な人間観が反映されている。

現代においても、この視点は示唆に富む。専門知識や職業的スキルは生まれつきの才能に依存するのではなく、継続的な経験と学習によって培われる。例えば科学者や技術者の熟練、経営者の判断力は、時間と実践が積み重ねた成果である。ホッブズの言葉は、思慮を一部の天才の特権ではなく、誰もが努力によって得られる普遍的な力として捉える重要性を示しているのである。

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