「賢者は、すべての人に理解される言葉で書くとしても、賢者のみが彼を称賛できるように書くべきである」

- 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
- イングランド出身
- 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者
英文
”A wise man should so write (though in words understood by all men) that wise men only should be able to commend him.”
日本語訳
「賢者は、すべての人に理解される言葉で書くとしても、賢者のみが彼を称賛できるように書くべきである」
解説
この言葉は、ホッブズが文章の普遍性と深遠さの両立を重視していたことを示している。真の賢者は平易な言葉で誰にでも理解できるように表現しつつ、その背後に深い洞察や論理を忍ばせるべきだという思想である。すなわち、誰もが読めるが、理解し評価できるのは賢者に限られるという二重構造を意識している。
この考えは、学問や思想が宗教的権威や政治的権力と鋭く対立していた17世紀の状況を背景としている。ホッブズ自身も『リヴァイアサン』をはじめとする著作において、平易な英語を用いながらも、国家や宗教権威に関する鋭い批判を盛り込んだ。彼にとって、普遍的な言葉で書くことは啓蒙の手段であると同時に、真に理解する者を選別する仕掛けでもあったのである。
現代においても、この姿勢は学術や文学の理想と通じる。例えば科学論文や哲学書は、誰もが読める文章でありながら、その真価を理解し批評できるのは専門知識を持つ人々である。ホッブズの言葉は、真の知恵は普遍性と深さを兼ね備え、読み手の層によって異なる理解を許すべきだという普遍的な指針を提示しているのである。
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