「人の良心と判断は同じものであり、判断が誤るように、良心もまた誤ることがある」

トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
トマス・ホッブズ(画像はイメージです)
  • 1588年4月5日~1679年12月4日(91歳没)
  • イングランド出身
  • 哲学者、政治思想家、社会契約論の提唱者

英文

”A man’s conscience and his judgment is the same thing; and as the judgment, so also the conscience, may be erroneous.”

日本語訳

「人の良心と判断は同じものであり、判断が誤るように、良心もまた誤ることがある」

解説

この言葉は、ホッブズが良心を特別な道徳的感覚ではなく理性の働きの一部として捉えていたことを示している。彼にとって良心とは神秘的な啓示や絶対的な道徳基準ではなく、人間の判断作用そのものにすぎない。したがって、判断が誤りうる以上、良心もまた誤りに陥る可能性があると論じたのである。

この見解は、宗教的権威が「良心」を絶対的な基準として強調していた17世紀の状況に対する批判でもある。ホッブズは、良心を絶対視することは危険であり、むしろ社会契約と主権者の法的権威こそが秩序の基準となるべきだと考えた。つまり、個人の良心を根拠に行動することは、しばしば社会の混乱を招くとみなしたのである。

現代においても、この洞察は重要である。個人の「良心的判断」が必ずしも普遍的な正義に一致するわけではなく、文化や教育、環境によって左右される。ホッブズの言葉は、良心を絶対化せず、誤りうる判断の一形態として理解することで、社会的ルールや合意の必要性を強調しているのである。

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