キング牧師「武器や流血を伴う自己防衛の原則は、ガンディーでさえも非難したことがない」

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
  • 1929年1月15日~1968年4月4日
  • アフリカ系アメリカ人
  • 牧師および公民権運動の指導者
  • アメリカにおける人種差別撤廃運動を指導し、公民権法の成立に貢献した

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア – Wikipedia

英文

“The principle of self defense, even involving weapons and bloodshed, has never been condemned, even by Gandhi.”

日本語訳

「武器や流血を伴う自己防衛の原則は、ガンディーでさえも非難したことがない」

最初に

この名言は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが、自己防衛の概念について語ったものである。彼は、非暴力主義を強く支持していたものの、自己防衛という特別な状況においては、暴力を用いることが許容される場合があることを認識していた。彼は、ガンディーでさえ自己防衛のために暴力を完全に否定したわけではないと指摘している。

解説

キング牧師は、原則として非暴力を貫いていたが、自己防衛という状況ではその限界があることを理解していた。彼が指摘する「自己防衛の原則」とは、他者からの攻撃に対して身を守るための行動を正当化するものであり、それが武器や暴力を伴う場合でも、道徳的に許容されると考えられる場合があるということである。たとえ非暴力主義を信じる者であっても、自己の命や家族を守るために暴力を行使することが、倫理的に非難されるべきではないという立場である。

彼がガンディーを引用することで、自己防衛に関する柔軟な見方を強調している。ガンディーは生涯を通じて非暴力を唱えたリーダーであったが、自己防衛のための暴力に関しては、ある種の状況下ではやむを得ないと考えていた。ガンディー自身、無抵抗のまま命を失うことが確実な状況では、暴力を用いてでも自己を守ることが道徳的に許される場合があると述べていた。

この名言は、完全な非暴力主義が現実的には難しい状況もあることを示唆している。たとえば、家族やコミュニティが生命の危機に瀕した場合、その防衛のために暴力を使うことは道徳的に正当化されるかもしれない。キング牧師は、公民権運動の中で非暴力的な抵抗を強調していたが、このような自己防衛の問題については、現実的な視点を持っていたことがわかる。

また、この名言には、非暴力の理想を守りながらも、状況によっては自分や愛する者を守るために暴力が必要となる場合があるという現実的なバランスを取る姿勢が反映されている。暴力を全面的に否定することは難しい一方で、それが乱用されないように道徳的な指針を持つことが重要である。

結論

キング牧師のこの名言は、非暴力主義を基本としながらも、自己防衛という特別な状況においては暴力が許容される場合があることを認めている。ガンディーでさえも自己防衛を完全に否定したわけではなく、現実的な状況に応じて柔軟な対応が必要であると指摘している。この言葉は、非暴力と自己防衛のバランスをどのように取るべきかについて深く考えさせる重要な教えである。