ダ・ヴィンチ「詩人は、目に見えるものの表現において画家に遠く及ばず、目に見えないものの表現においては音楽家に遠く及ばない」

レオナルド・ダ・ヴィンチ
  • 1452年4月15日~1519年5月2日
  • イタリア人
  • 万能人(画家、彫刻家、建築家、発明家、科学者など)
  • 絵画「モナ・リザ」や「最後の晩餐」をはじめとする芸術作品の制作、さらに「飛行機の設計図」や「解剖学の研究」などの科学や工学における先駆的なアイデアも多く残した

レオナルド・ダ・ヴィンチ – Wikipedia

英文

“The poet ranks far below the painter in the representation of visible things, and far below the musician in that of invisible things.”

日本語訳

「詩人は、目に見えるものの表現において画家に遠く及ばず、目に見えないものの表現においては音楽家に遠く及ばない」

最初に

この名言は、レオナルド・ダ・ヴィンチが芸術の異なる形式—絵画、詩、音楽—の表現力を比較したものである。彼は、詩人は視覚的なものの描写では画家に劣り、感覚に見えないもの、つまり感情や抽象的な概念の表現では音楽家に劣ると述べている。この言葉は、芸術の特性を理解し、各分野がどのように異なる役割を果たしているかを考えるためのきっかけとなる。

解説

ダ・ヴィンチは、多才でありながら視覚的芸術、特に絵画を最も高く評価していた。彼にとって、絵画は目に見える世界を最も直接的かつ詳細に表現する手段であった。絵画は色彩や形、質感を使って視覚的な現実を正確に再現し、見る者に即座に訴える力がある。これに対して、詩は言葉を使って目に見えるものを表現するが、その表現は抽象的であり、言葉の限界に縛られる部分があるとダ・ヴィンチは考えていた。

一方で、音楽は視覚的な表現ではなく、感覚に見えないもの、つまり感情や魂の動き、抽象的な概念を音を通じて表現する力を持つ。音楽は、言葉では表現しきれない感情や内面の状態を伝えることができ、視覚や言語に頼らないため、より深いレベルで感覚に訴えることができる。ダ・ヴィンチは、詩がこの音楽の力に及ばないと考えていた。

この名言は、詩が持つ限界を示す一方で、それぞれの芸術形式が独自の特性と強みを持つことを認識している。絵画は視覚的な現実を表現し、音楽は感情や抽象的なものを表現するが、詩はその両方の間に位置し、どちらの表現力においても他の芸術に劣るという考えが示されている。

しかし、この名言は詩を完全に否定しているわけではない。むしろ、ダ・ヴィンチは芸術の異なる形式を比較することで、それぞれの表現力の違いと限界を強調している。詩は、言葉を用いることによって、視覚や音とは異なる方法で人々に訴えかける力を持っている。詩は想像力を駆使し、読者の心に深く響くことができるが、ダ・ヴィンチの視点では、絵画や音楽ほどの直接的な表現力を持っていないと考えていた。

結論

レオナルド・ダ・ヴィンチのこの名言は、詩、絵画、音楽の表現力を比較し、それぞれの芸術形式が持つ特性と限界について述べている。彼は、詩が目に見えるものの描写では画家に劣り、目に見えない感情や抽象的なものの表現では音楽家に劣ると考えていた。この言葉は、芸術の異なる形式がどのように異なる役割を果たし、どのように感覚に訴えるかを理解するための洞察を提供している。