「国家のあらゆるものを人民が共有するようになってはじめて、我々は民生主義の目標、すなわち孔子が夢見た『大同』の境地に真に到達するのである」

- 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
- 中国(清国)出身
- 革命家、政治家、中華民国臨時大総統
英文
”When the people share everything in the state, then will we truly reach the goal of the Min Sheng Principle, which is Confucius’ hope of a ‘great commonwealth.’”
日本語訳
「国家のあらゆるものを人民が共有するようになってはじめて、我々は民生主義の目標、すなわち孔子が夢見た『大同』の境地に真に到達するのである」
解説
この言葉は、孫文の「三民主義」思想の中核である「民生主義」と、中国古代の儒教的理想である「大同社会(大同世界)」を結びつけたものである。彼は、経済的平等と共同福祉をめざす政治理念を、単なる西洋的社会主義の輸入ではなく、中国の伝統思想の継承と発展として捉えていた。
「民生主義」は、国家の富と資源を少数の資本家ではなく広く国民全体が享受できるように分配すべきだという思想である。それは孔子が『礼記』で描いた「大同」の社会――すなわち貧富の差がなく、すべての人が公共の幸福を分かち合う理想社会――と通底していると孫文は見なしていた。これにより彼の社会思想は、西洋的合理主義と東洋的道徳観を橋渡しする独自の形となっている。
現代においても、格差や不平等が拡大する中で、社会全体で富や資源を共有するという理念はなお重要な課題である。孫文のこの言葉は、単なる経済政策ではなく、倫理と共同体意識に基づいた社会ビジョンの必要性を説いたものであり、伝統と革新の融合という視点から再評価されるべき思想的遺産である。
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