「自然の力によって“王道”のもとに結びつき発展した集団を、我々は“民族”と呼ぶ。一方、人為の力、“覇道”によって結びつき発展した集団を“国家”と呼ぶ。これが、民族(国民)と国家との違いである」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”We say that a group united and developed in the royal way, by forces of nature, is a race; a group united and developed by way of might, by human forces, is a state. This, then, is the difference between a race or nationality and a state.”

日本語訳

「自然の力によって“王道”のもとに結びつき発展した集団を、我々は“民族”と呼ぶ。一方、人為の力、“覇道”によって結びつき発展した集団を“国家”と呼ぶ。これが、民族(国民)と国家との違いである」

解説

この言葉は、民族(race/nationality)と国家(state)の本質的な成り立ちの違いについて、孫文が東洋思想と政治理論を融合させて論じたものである。彼は「民族」は自然発生的・文化的に形成されるものであり、血縁や言語、風俗、歴史的な共有によって統一される存在と捉えている。これは「天の道=王道」による結びつきであり、調和と秩序を重視した共同体のイメージである。

対して「国家」は、政治的・軍事的な力=人為的な統治によって形成された組織体であり、利害や権力構造の上に成り立つ集団とされる。これは「人の道=覇道」による結合であり、法と制度により統制される近代国家的側面を意味する。孫文はこの違いを指摘することで、国家という枠組みの中に民族的正統性と自然的な一体感を取り戻す必要があると暗に示している。

現代においても、民族的アイデンティティと国家の制度的枠組みが一致しないことで紛争が生じる問題は多くの地域に存在する。孫文のこの言葉は、国家を単なる支配装置ではなく、民族の自然的発展と調和させて構築すべきだという理念を表しており、政治哲学としての深い示唆を含んでいる。

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