「我々は今や民主主義を活用する方法を知っており、人々の政府に対する態度を変える術も心得ている。しかし、大多数の民衆はいまだに展望を持たない。もし我々が西洋民主主義の混乱から脱し、その後を盲目的に追わずに済ませたいのであれば、先見の明ある者が彼らを導き、正しい道へと導かねばならない」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”We know a way now to make use of democracy, and we know how to change the attitude of people towards government, but yet the majority of people are without vision. We who have prevision must lead them and guide them into the right way if we want to escape the confusions of Western democracy and not follow in the tracks of the West.”

日本語訳

「我々は今や民主主義を活用する方法を知っており、人々の政府に対する態度を変える術も心得ている。しかし、大多数の民衆はいまだに展望を持たない。もし我々が西洋民主主義の混乱から脱し、その後を盲目的に追わずに済ませたいのであれば、先見の明ある者が彼らを導き、正しい道へと導かねばならない」

解説

この発言は、民主主義の理念とその運用に対する孫文の独自の立場を端的に示している。彼は民主主義を無条件に賛美するのではなく、西洋の模倣に終始することの危険性を見抜いていた。その背景には、当時の西欧諸国における政党政治の腐敗や民意の分裂といった実情があった。孫文は、そうした「混乱した民主主義」に陥らないよう、中国に適した形の民主政治を構築すべきだと考えていた。

重要なのは、彼が「先見の明ある者」が指導すべきだと述べている点である。これは、単なるエリート主義ではなく、民衆の政治意識が未成熟である段階では、導く知識人の役割が必要だという段階的民主主義観に基づいている。孫文は、教育と啓蒙によって民衆の視野を広げ、最終的には自律的な民主社会に至ることを理想としていた。

この考えは現代においても応用可能である。発展途上国における民主化支援や政治教育の必要性は、まさに孫文の語るところと一致する。制度の輸入だけでは民主主義は機能せず、民衆の意識改革と政治文化の涵養が不可欠なのである。孫文のこの言葉は、民主主義を根付かせるには深い先見と責任ある導きが必要であるという警句として重く響く。

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