「革命の目的は人民の権利を実現することにあるが、その過程においては軍事力を重視せざるを得ない――そしてこの二つは本質的に矛盾している」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”The goal of the revolution is to achieve the people’s rights, but during the course of the revolution, we must stress military power – and the two are mutually contradictory.”

日本語訳

「革命の目的は人民の権利を実現することにあるが、その過程においては軍事力を重視せざるを得ない――そしてこの二つは本質的に矛盾している」

解説

この言葉は、革命という手段とその目的との間にある緊張と逆説を率直に認めたものである。孫文は、人民の自由・権利・平等といった理念を実現するために革命を志したが、その過程では既存権力を打倒するために軍事力という強制的手段に依存せざるを得なかった。この現実は、権力の解放を軍事力によって達成しようとする矛盾を孕んでいた。

彼の思想では、「三民主義」による制度的平和の構築が最終的な理想であったが、その前提には旧体制の崩壊という現実的な闘争が必要だった。そのため孫文は、革命が一時的に権威的・武断的になる危険性を認識しつつ、それでも最終的には民衆の権利回復に帰着しなければならないという自己抑制的な理念を持ち続けていた。

この矛盾は、現代の民主化運動や体制転換にも共通する普遍的課題である。軍事介入や暴力革命が本来守るべき民衆の自由をむしろ抑圧する危険性がある中で、孫文のこの言葉は、手段と目的の一致の困難さと、それに対する倫理的自覚の必要性を強く訴えている。

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