「文明国家が一つの政党しか持たないということはあり得ない。一党しか存在しなければ、それは単なる独裁にすぎず、政治は前進しない」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”Remember that a civilized nation cannot just have one party; if there were only one party, this would merely be a dictatorship. Politics could not advance.”

日本語訳

「文明国家が一つの政党しか持たないということはあり得ない。一党しか存在しなければ、それは単なる独裁にすぎず、政治は前進しない」

解説

この言葉は、多党制こそが健全な政治の前提であるという孫文の民主主義観を明確に表している。彼は、一党独裁が政治の停滞と専制を招くと見ており、文明国家にふさわしいのは政党間の競争と抑制のある政治体制であると考えていた。これは彼の「三民主義」中の「民権主義」、すなわち国民による政治参加の制度化と密接に結びついている。

この発言はまた、孫文が抱いていた理想としての議会政治や政党政治への信頼を反映している。特定の党派が恒久的に権力を握れば、批判や改革の機会が閉ざされ、やがては腐敗を招く。だからこそ、複数政党が存在し、互いに監視し合いながら政策を競い合う仕組みが必要であり、それが政治の進歩を促すとした。

現代においても、一党支配の弊害や民主的制度の形骸化が問題視される中で、制度としての多党制と実質的な政治的多様性の確保は、自由社会の健全性を保つための基本条件である。孫文のこの言葉は、民主主義を名乗るには、制度と実践の両面において多元性が不可欠であるという普遍的な警鐘として響く。

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