「欧州大戦の経験から判断するに、帝国主義はいかなる国にも大きな利益をもたらさず、すべての民族に自由を与えることこそが、人類を救う唯一の原理である」

- 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
- 中国(清国)出身
- 革命家、政治家、中華民国臨時大総統
英文
”Judging from the experience of the European War, imperialism renders no great benefit to any nation, whereas liberty for all nationalities is the only principle by which humanity will ever be saved.”
日本語訳
「欧州大戦の経験から判断するに、帝国主義はいかなる国にも大きな利益をもたらさず、すべての民族に自由を与えることこそが、人類を救う唯一の原理である」
解説
この言葉は、第一次世界大戦(European War)の惨禍を踏まえて、帝国主義の限界と害悪を鋭く批判し、民族自決と自由を人類救済の原理と位置づけた孫文の国際主義的理念を表している。彼は、列強による領土拡張や植民地支配が戦争を招き、最終的には支配者も被支配者もともに疲弊させる結果しかもたらさなかったことを痛感していた。
ここでの「liberty for all nationalities(すべての民族に自由を)」は、単なる抽象的理想ではなく、抑圧された民族に対する独立と自決の承認を求める政治的スローガンである。孫文は、中国をはじめアジア諸国が列強の支配下にあった現実に対し、帝国主義からの脱却こそが平和と正義への唯一の道であると信じていた。
この思想は、ウッドロウ・ウィルソンの「民族自決」原則とも共鳴するが、孫文はそれをアジアの視点からより徹底して主張したといえる。現代においても、民族の自由と独立、帝国主義的影響力からの解放は、持続的平和の前提として語られる普遍的理念であり、孫文のこの言葉は、今なお国際政治と人類の倫理的課題を照らす指針となっている。
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