「今日の日本は、西洋の“力による支配”の文明に通じながらも、東洋の“道による支配”という文明の特質を保持している。いま問われているのは、日本が“力の支配”を掲げる西洋文明の鷹となるのか、それとも東洋の柱石となるのか、ということである」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”Japan today has become acquainted with the Western civilization of the rule of Might, but retains the characteristics of the Oriental civilization of the rule of Right. Now the question remains whether Japan will be the hawk of the Western civilization of the rule of Might, or the tower of strength of the Orient.”

日本語訳

「今日の日本は、西洋の“力による支配”の文明に通じながらも、東洋の“道による支配”という文明の特質を保持している。いま問われているのは、日本が“力の支配”を掲げる西洋文明の鷹となるのか、それとも東洋の柱石となるのか、ということである」

解説

この言葉は、近代日本が西洋の軍事力と帝国主義的な発展モデルを吸収する一方で、東洋的な倫理や道徳の伝統をも有しているという二面性に着目した評価である。孫文は、日本がアジアの中で最も早く近代化を果たし、軍事的にも経済的にも欧米列強に匹敵しうる存在となったことを認識していた。

しかしその一方で、日本が東洋文明の精神的価値――すなわち「道」や「義」に基づく平和的な秩序感覚――を放棄せずに保ち続けるかどうかに注目している。彼は、日本が今後アジア諸国に対して西洋列強のように覇権的に振る舞うのか、あるいはアジアの道義的リーダーとして立つのかという岐路にあると指摘したのである。

この言葉は、単に日本への問いかけにとどまらず、近代化と伝統、力と道義の均衡をいかに取るかという東アジア全体への問題提起でもある。現代においても、経済力や軍事力を持った国が、それをどう運用するか――覇権の道か、協調の道か――という選択が常に問われている。孫文のこの言葉は、アジアの未来における倫理的リーダーシップの在り方を考える手がかり**となる。

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