「もし中国が他国と対等の立場に立てば、経済分野で自由に競争し、敗れることなく自力で立つことができる。しかし、外国が経済的野心の盾として政治的権力を用いるやいなや、中国はそれにどう抵抗し、どう競争すべきか分からなくなってしまう」

- 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
- 中国(清国)出身
- 革命家、政治家、中華民国臨時大総統
英文
”If China stood on an equal basis with other nations, she could compete freely with them in the economic field and be able to hold her own without failure. But as soon as foreign nations use political power as a shield for their economic designs, then China is at a loss how to resist or to compete successfully with them.”
日本語訳
「もし中国が他国と対等の立場に立てば、経済分野で自由に競争し、敗れることなく自力で立つことができる。しかし、外国が経済的野心の盾として政治的権力を用いるやいなや、中国はそれにどう抵抗し、どう競争すべきか分からなくなってしまう」
解説
この言葉は、経済の自由競争と政治的干渉の不均衡に対する孫文の強い危機意識を表している。彼は、中国が経済的に後れを取っている理由を単に能力や制度の未熟さに求めるのではなく、列強が政治力(軍事・外交・条約など)を背景に経済的優位を強引に確保している現実を批判している。つまり、フェアな市場競争が成立していないという構造的な問題を指摘しているのである。
ここでの「対等の立場」とは、主権の尊重と不平等条約の撤廃を前提とした、独立国家としての正当な国際的地位を意味している。孫文は、中国がそのような条件下にあれば、豊富な人材や資源を活かして十分に国際社会で競争し得ると確信していた。しかし、列強による経済侵略とそれを正当化する政治的圧力が存在する限り、対抗の手段を奪われた中国は常に不利な立場に置かれる。
この構図は、現代にも通じる。たとえば、経済援助と政治的条件の抱き合わせ、通商協定における不平等な交渉力格差など、小国や途上国が直面する問題は形を変えて存在している。孫文のこの言葉は、真の自由競争とは、政治的平等と主権の保障が前提であるという原則を、明快に説いている。
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