「富と軍事力において大きな成果を挙げているにもかかわらず、ヨーロッパの列強は大多数の民衆に最大の幸福をもたらすことにいまだ成功していないこと、そしてこれらの国々の改革者たちが新たな社会革命のために懸命に努力していることに、私は気づき始めた」

- 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
- 中国(清国)出身
- 革命家、政治家、中華民国臨時大総統
英文
”I began to realize that, in spite of great achievements in wealth and military prowess, the great powers of Europe have not yet succeeded in providing the greatest happiness of the vast majority of the people; and that the reformers in these European countries were working hard for a new social revolution.”
日本語訳
「富と軍事力において大きな成果を挙げているにもかかわらず、ヨーロッパの列強は大多数の民衆に最大の幸福をもたらすことにいまだ成功していないこと、そしてこれらの国々の改革者たちが新たな社会革命のために懸命に努力していることに、私は気づき始めた」
解説
この言葉は、西洋列強の繁栄の背後にある社会的不平等と民衆の苦難を洞察した孫文の批判的認識を示している。ヨーロッパ諸国は産業革命や軍事力の強化によって世界的な覇権を握っていたが、その繁栄は必ずしも国民大衆に幸福をもたらしてはいなかった。孫文は、この矛盾こそがヨーロッパ内部における新たな社会改革や革命運動の源泉であると見抜いたのである。
ここでは、富と武力による国家的強さが必ずしも社会的正義や国民の福祉に結びつかない現実が明確に示されている。孫文にとって、この洞察は自らの「民生主義」に直結しており、単なる富国強兵ではなく、人民全体の生活改善と幸福追求を国家の目的とすべきだという信念を強める契機となった。
現代においても、経済成長や軍事力の強化が必ずしも国民の幸福度を高めるわけではないことは広く認識されている。孫文のこの言葉は、国家の真の評価基準は富や武力ではなく、いかに大多数の人々に幸福をもたらすかにあるという普遍的な教訓を、歴史的経験を通して語っている。
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