「私は苦力であり、苦力の子である。貧しい者たちの中に生まれ、今もなお貧しい。私の共感は常に、苦しみの中にある大衆とともにある」

孫文(画像はイメージです)
孫文(画像はイメージです)
  • 1866年11月12日~1925年3月12日(58歳没)
  • 中国(清国)出身
  • 革命家、政治家、中華民国臨時大総統

英文

”I am a coolie and the son of a coolie. I was born with the poor, and I am still poor. My sympathies have always been with the struggling mass.”

日本語訳

「私は苦力であり、苦力の子である。貧しい者たちの中に生まれ、今もなお貧しい。私の共感は常に、苦しみの中にある大衆とともにある」

解説

この言葉は、孫文自身の出自と革命家としての根源的な立場を明確に表明するものである。「苦力(クーリー)」とは、植民地時代に過酷な労働に従事した中国人労働者を指す言葉であり、ここでは自らを最下層の民衆の一人として位置づけている。これは、彼の革命思想がエリート主義や上からの改革ではなく、民衆の苦しみと連帯し、それを出発点とする運動であったことを象徴している

「常に苦しむ大衆に共感してきた」という一節は、孫文の「三民主義」のうち特に民生主義(生活の保障)と民権主義(政治参加)への強い関心を物語る。彼にとって革命とは、自らの社会的背景を超えた理想主義ではなく、現実の不平等と貧困に根差した実践的な闘いであった。

現代においても、政治指導者や社会運動家が自らを民衆の側に立つ者として示すことは、大衆の信頼と正統性の根拠となる。孫文のこの言葉は、指導者とは高所から語るのではなく、同じ痛みと経験を共有し、そこから社会を変える意志を持つ者であるべきだという倫理的理想を明確に伝えている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「孫文」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る