「ワーグナーは、音楽を通じて感情を表現するという点で、彼以前も以後も誰よりも優れている」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“Wagner manages to convey emotion with music better than anyone, before or since.”
日本語訳
「ワーグナーは、音楽を通じて感情を表現するという点で、彼以前も以後も誰よりも優れている」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングが音楽家リヒャルト・ワーグナーの才能とその独特の感情表現力について述べたものである。ワーグナーは19世紀を代表する作曲家であり、特にそのオペラ作品は壮大なスケールと深い感情表現で知られている。ホーキングがこのように絶賛する理由には、ワーグナーの音楽が持つ力強い感情的な影響があると考えられる。
「感情を表現する」という点において、ワーグナーの音楽は、従来の作曲法や表現を超えた革新性を持っていた。彼は、楽劇(Gesamtkunstwerk)という独自の形式を追求し、音楽、詩、ドラマ、舞台芸術を融合させた作品を作り上げた。その結果、観客に対して感情の高まりや心理的な深みを直接的に体験させることができた。
また、ワーグナーの作品には独特の和声進行やライトモチーフ(特定のキャラクターやテーマを象徴する音楽的フレーズ)が多く用いられており、これが感情のニュアンスや物語の展開を強調する重要な要素となっている。特に『トリスタンとイゾルデ』や『指環』四部作などの作品は、感情の極致を音楽で描写した傑作とされている。
ホーキングのこの発言は、ワーグナーの音楽が持つ普遍的な影響力を示しているとともに、音楽が感情を伝える強力な手段であることを強調している。音楽を通じて人々の感情に訴えかける力は、科学や論理の枠を超えた共感の世界を広げるものであり、ホーキング自身もその魅力を深く理解していたことがうかがえる。
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