「科学が通常採用する数学的モデルを構築するアプローチでは、そのモデルが記述する宇宙がなぜ存在するのかという問いに答えることはできない。宇宙はなぜわざわざ存在するのか?」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“The usual approach of science of constructing a mathematical model cannot answer the questions of why there should be a universe for the model to describe. Why does the universe go to all the bother of existing?”
日本語訳
「科学が通常採用する数学的モデルを構築するアプローチでは、そのモデルが記述する宇宙がなぜ存在するのかという問いに答えることはできない。宇宙はなぜわざわざ存在するのか?」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングが宇宙の存在理由という科学では完全に答えられない根本的な問いを投げかけたものである。彼は、物理学が自然界の法則を記述する強力な手段である一方で、その法則や現象の「なぜ」に迫る限界を認識していた。
「数学的モデルを構築するアプローチ」とは、科学が自然界を理解するために採用する基本的な方法論を指している。物理学や宇宙論では、観測に基づいて方程式や理論を構築し、宇宙の現象を説明し予測する。しかし、ホーキングはそのモデルが「なぜ宇宙が存在するのか」という哲学的な問いに答えることはできないと認めている。
「宇宙はなぜわざわざ存在するのか」という部分は、存在の意義を問う哲学的・形而上学的な問題を提起している。科学的探求は、宇宙がどのように始まり、どのように発展してきたかを説明することに成功してきたが、「なぜそもそも何かが存在するのか」という究極的な問いに対する答えは未解明である。この問いは、科学、哲学、宗教が交差する領域に属している。
ホーキングのこの発言は、科学の力とその限界を冷静に評価している。彼は、科学が提供する答えの重要性を認めつつも、人間が宇宙について抱く深遠な問いに対する包括的な理解を得るためには、他の視点や方法論も必要であることを示唆している。
この言葉は、科学的好奇心が新たな探求を促す力を象徴しているとともに、科学が解明しきれない神秘を認識する謙虚さを示している。ホーキングの問いかけは、人類の知識の限界を超える挑戦を続ける原動力となる普遍的なメッセージを含んでいる。
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