「幹細胞研究は、パーキンソン病や私を含む多くの人が苦しんでいる運動ニューロン疾患のような変性疾患の治療法を開発する鍵である。幹細胞が胚から来る可能性があるという事実は反対理由にはならない。なぜなら、それらの胚はどのみち死んでしまうからだ」

スティーヴン・ホーキング
スティーヴン・ホーキングの名言
  • 1942年1月8日~2018年3月14日
  • イギリス出身
  • 理論物理学者、サイエンス・ライター
  • ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した

英文

“Stem cell research is the key to developing cures for degenerative conditions like Parkinson’s and motor neuron disease from which I and many others suffer. The fact that the cells may come from embryos is not an objection, because the embryos are going to die anyway.”

日本語訳

「幹細胞研究は、パーキンソン病や私を含む多くの人が苦しんでいる運動ニューロン疾患のような変性疾患の治療法を開発する鍵である。幹細胞が胚から来る可能性があるという事実は反対理由にはならない。なぜなら、それらの胚はどのみち死んでしまうからだ」

解説

この発言は、スティーヴン・ホーキングが幹細胞研究の重要性と倫理的な議論に関する自身の考えを率直に述べたものである。ホーキングはALS(筋萎縮性側索硬化症)という進行性の神経疾患を抱え、その治療法が見つかる可能性に強い期待を寄せていた。彼にとって幹細胞研究は、こうした疾患の治療を実現する科学的な希望の象徴だった。

「変性疾患の治療法を開発する鍵」という部分は、幹細胞研究が損傷した神経や組織を修復し、患者の生活を根本的に改善する可能性を秘めていることを示している。特に、パーキンソン病やALSのような疾患は現在の医学では完全に治療することが難しく、幹細胞研究がもたらす進展は多くの患者にとって希望の光となる。

一方で、「胚から来る可能性がある」という倫理的な側面についても触れている。ホーキングは、胚性幹細胞の使用が議論を呼ぶ原因となることを理解しつつも、これらの胚が捨てられる運命にある場合、その利用を非難する理由にはならないと主張している。彼の立場は、科学がもたらす実際的な利益が倫理的な懸念を上回る場合があるという考え方に基づいている。

この発言は、科学的探究と倫理的課題のバランスをどう取るべきかという問題を浮き彫りにしている。ホーキングは、科学が人類に貢献できる可能性を最大化するためには、理性的な議論と現実的な視点が必要だと考えていた。この言葉は、幹細胞研究をめぐる複雑な議論の中で、患者の視点からの重要な洞察を提供するものである。

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