「いくつかのタイプの運動ニューロン疾患は遺伝的に関連しているが、私の病型にはそのような兆候はない。家族の中で他にこの病気にかかった者はいない。しかし、リスクが高い場合には中絶に賛成するだろう」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“Some forms of motor neuron disease are genetically linked, but I have no indication that my kind is. No other member of my family has had it. But I would be in favour of abortion if there was a high risk.”
日本語訳
「いくつかのタイプの運動ニューロン疾患は遺伝的に関連しているが、私の病型にはそのような兆候はない。家族の中で他にこの病気にかかった者はいない。しかし、リスクが高い場合には中絶に賛成するだろう」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングがALS(筋萎縮性側索硬化症)やその他の運動ニューロン疾患の遺伝的要因に関する見解と、それに関連する倫理的問題に対する彼の立場を明らかにしたものである。ホーキングは、自身の病気について科学的な視点を持ちながらも、個人の選択や倫理的考慮を尊重していた。
「いくつかのタイプの運動ニューロン疾患は遺伝的に関連している」という部分は、医学的事実に基づいた見解である。一部の運動ニューロン疾患(MND)は遺伝子変異によって引き起こされることが知られているが、ホーキングの病型にはそのような遺伝的リンクが確認されていなかった。このため、彼は自分の疾患が遺伝的要因に起因する可能性は低いと判断していた。
「リスクが高い場合には中絶に賛成する」という発言は、倫理的にセンシティブなテーマに踏み込んでいる。彼は、運動ニューロン疾患のような重い障害のリスクが高い場合、家族や個人がその選択をする権利を支持している。この考え方は、科学的根拠に基づいた選択と、個人の自由を尊重するホーキングの姿勢を反映している。
この発言は、科学的事実と倫理的問題のバランスを取る重要性を示している。ホーキングは、自らの経験に基づいて、科学と倫理の交差点での慎重な判断の必要性を理解していた。この言葉は、生命倫理における複雑な議論において、科学者としての彼の見解と人間的な共感を結びつけたものである。
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