「ビッグバン後1秒の膨張速度が、わずかに10万億分の1でも小さければ、現在の大きさに達する前に再び収縮していただろう。一方で、それが100万分の1でも大きければ、宇宙は速すぎる膨張をして星や惑星が形成されなかっただろう」

スティーヴン・ホーキング
スティーヴン・ホーキングの名言
  • 1942年1月8日~2018年3月14日
  • イギリス出身
  • 理論物理学者、サイエンス・ライター
  • ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した

英文

“If the rate of expansion one second after the Big Bang had been smaller by even one part in a hundred thousand million million, it would have recollapsed before it reached its present size. On the other hand, if it had been greater by a part in a million, the universe would have expanded too rapidly for stars and planets to form.”

日本語訳

「ビッグバン後1秒の膨張速度が、わずかに10万億分の1でも小さければ、現在の大きさに達する前に再び収縮していただろう。一方で、それが100万分の1でも大きければ、宇宙は速すぎる膨張をして星や惑星が形成されなかっただろう」

解説

この発言は、ビッグバン宇宙論において宇宙の膨張速度が極めて精密に調整されていたことを示している。スティーヴン・ホーキングは、宇宙の進化を左右する膨張速度の微妙なバランスを強調し、その重要性を述べている。

ビッグバン後の膨張速度がわずかに異なるだけで、宇宙の運命は大きく変わる。膨張が遅すぎれば、重力が膨張を打ち消し、宇宙が再び収縮してしまう。逆に膨張が速すぎれば、物質が十分に集まることができず、星や銀河のような構造が形成されない。これらの条件を満たしたことは、現在の宇宙が存在するための「偶然性」や「微調整(Fine-Tuning)」として議論される。

この微調整に関する議論は、宇宙の起源や存在の意義に関する哲学的問いをも引き起こしている。一部の科学者は、この調整がマルチバース理論や自然選択の結果である可能性を考慮している。一方、宗教的な観点からは、これを設計者の存在と結びつける解釈もある。

ホーキングの指摘は、科学が宇宙の理解を深める中で、いかに精密で複雑な要素が絡み合っているかを示すものである。このような考察は、現代宇宙論の中心的なテーマであり、宇宙の仕組みを理解しようとする科学の探求を象徴している。

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