「私はミシガン大学のゴードン・ケインと、ヒッグス粒子が発見されないという賭けをしていた」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“I had a bet with Gordon Kane of Michigan University that the Higgs particle wouldn’t be found.”
日本語訳
「私はミシガン大学のゴードン・ケインと、ヒッグス粒子が発見されないという賭けをしていた」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングがヒッグス粒子の存在に対する懐疑的な姿勢と科学者間のユーモアを示したものである。ホーキングは、物理学における重要な発見について、科学的な興味だけでなく、賭けを通じた友好的な競争心を持って接していた。
「ヒッグス粒子が発見されない」というホーキングの予想は、物理学の標準模型が未検証だった部分に対する彼の科学的懐疑心を反映している。ヒッグス粒子は、物質に質量を与える「ヒッグス場」の存在を示す粒子であり、長年にわたり理論的に予測されていたが、実際に観測されるまではその存在が確証されていなかった。
2012年、ヨーロッパ原子核研究機構(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)でヒッグス粒子が発見され、ホーキングはこの賭けに負ける形となった。彼はその後、自身の誤りを認め、ヒッグス粒子の発見を物理学における重要な進展として称賛している。この発見は、標準模型を確立し、素粒子物理学の基本的な理解を強化するものだった。
この発言は、科学者が競争的でありながらも協力的な精神を持つことの重要性を示している。ホーキングのような偉大な科学者でさえ、未解決の謎に対して大胆な仮説や懐疑を抱きつつ、新しい発見が行われた際にはそれを歓迎する姿勢を示している。この賭けのエピソードは、科学における挑戦的な精神と、人間味あるユーモアを反映している。
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