「私は2009年夏、アメリカの報道で『英国の国民保健サービス(NHS)がもし私がイギリス国民であったなら私を死なせていただろう』という主張がされたことを受け、医療問題の議論に参加した。この誤りを説明するため、声明を出す必要があると感じた」
- 1942年1月8日~2018年3月14日
- イギリス出身
- 理論物理学者、サイエンス・ライター
- ブラックホールの特異点定理やホーキング放射を発表し、また著作『宇宙を語る』などで科学の普及に貢献した
英文
“I entered the health care debate in response to a statement in the United States press in summer 2009 which claimed the National Health Service in Great Britain would have killed me off, were I a British citizen. I felt compelled to make a statement to explain the error.”
日本語訳
「私は2009年夏、アメリカの報道で『英国の国民保健サービス(NHS)がもし私がイギリス国民であったなら私を死なせていただろう』という主張がされたことを受け、医療問題の議論に参加した。この誤りを説明するため、声明を出す必要があると感じた」
解説
この発言は、スティーヴン・ホーキングが医療制度に関する議論に巻き込まれた際の経緯を述べたものである。当時、アメリカではオバマ政権の医療改革(Affordable Care Act)に関する議論が盛んで、その中で英国のNHSがしばしば批判の対象として取り上げられた。一部の報道では、NHSが十分な医療を提供しないため、ホーキングのような患者は助からなかっただろうとする主張がなされた。
ホーキングは、NHSが自分の命を支えてきたことを強調し、この主張を完全に否定した。彼は、ALSという重い障害を抱えながらも、英国の医療制度のおかげで最善の治療を受け、科学的な業績を成し遂げることができたと述べている。これにより、NHSが不十分な制度であるという批判が根拠を欠いていることを明らかにした。
この発言は、ホーキングが科学者としての立場を超え、社会的な問題についても積極的に発言する姿勢を示している。また、彼の言葉は、公共医療制度が重病患者にとってどれほど重要であるかを考えさせるものでもある。医療制度が適切に機能することが、個人の命やその可能性を支える基盤となることを訴えている。
ホーキングの声明は、事実を基にした正確な議論の必要性を示すと同時に、彼が自分の経験を通じて医療の公正性と普遍性を擁護していたことを物語っている。この発言は、医療の未来を考える上で重要な視点を提供している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
関連するタグのコンテンツ
死