「ある民族が情熱によって支配され、慎重で理性的な議論の習慣をあまり身につけていないほど、その音楽への愛は一層強烈になる」

- 1783年1月23日~1842年3月23日(59歳没)
- フランス出身
- 小説家、評論家
英文
”The more a race is governed by its passions, the less it has acquired the habit of cautious and reasoned argument, the more intense will be its love of music”
日本語訳
「ある民族が情熱によって支配され、慎重で理性的な議論の習慣をあまり身につけていないほど、その音楽への愛は一層強烈になる」
解説
この言葉は、民族性と音楽への愛好の関係を描いた文化的観察である。スタンダールは、感情的で衝動的な気質を持つ民族ほど、論理や理性よりも感覚に直接訴える芸術、特に音楽に強く惹かれると述べている。逆に、論理的議論や慎重な思考に重きを置く社会では、音楽の情熱的な魅力は相対的に弱まる可能性があるという視点である。
この発想の背景には、19世紀ヨーロッパにおける国民性論と音楽観がある。当時、南欧やラテン系の国々は情熱的で音楽好きとされ、北欧やゲルマン系の国々は理性的で議論好きと見なされる文化的ステレオタイプが存在した。スタンダールは、この文化差を肯定的・否定的価値判断を交えず、気質と芸術嗜好の結びつきとして表現している。
現代においても、この考えは一部の傾向として見られる。例えば、感情表現が豊かな地域やコミュニティでは、音楽フェスやダンス文化が盛んであり、議論よりも感覚的な共有が重視される。一方、理性的で討論文化の強い社会では、音楽鑑賞がより分析的・構造的に捉えられることも多い。この言葉は、音楽が文化の感情的気質を映す鏡であるという普遍的な洞察を含んでいる。
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