「すべての宗教は、大多数の人々の恐れと、少数者の才知の上に築かれている」

- 1783年1月23日~1842年3月23日(59歳没)
- フランス出身
- 小説家、評論家
英文
”All religions are founded on the fear of the many and the cleverness of the few”
日本語訳
「すべての宗教は、大多数の人々の恐れと、少数者の才知の上に築かれている」
解説
この言葉は、宗教の成立を心理的要因と権力構造から分析した非常に批判的な見解である。「fear of the many(大多数の人々の恐れ)」は、死や未知、災厄に対する人間の本能的な不安を指し、「cleverness of the few(少数者の才知)」は、その不安を利用し制度化する知恵や策略を持つ人々を意味する。スタンダールは、宗教が信仰や霊的真理よりも、人間の恐怖心とそれを操作する仕組みによって成り立っていると指摘している。
この発想の背景には、啓蒙思想と19世紀ヨーロッパの反教権主義がある。当時、多くの知識人は宗教権威を批判し、理性と科学による社会改革を志向していた。スタンダールもその潮流の中で、宗教を精神的救済の場というよりも、社会秩序と権力維持の装置として見ていた。
現代においても、この視点は議論を呼ぶ。確かに、歴史的に多くの宗教制度は権力構造と結びつき、人々の恐れを背景に維持されてきた。一方で、宗教が共同体の絆や道徳の基盤を築いた例も多い。この言葉は、宗教を批判的に捉えるための鋭い切り口であり、信仰と権力の関係を見極める重要性を突きつけている。
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