「神は無から創造する。素晴らしいことだと言うだろう。たしかにそうだが、もっと驚くべきことがある。それは、神が罪人から聖人を作り出すことだ」

- 1813年5月5日~1855年11月11日
- デンマーク出身
- 哲学者、神学者、作家
- 実存主義哲学の先駆者として知られ、「主体的真理」や「信仰の飛躍」といった概念を提唱。個人の内面的な葛藤と信仰の問題を深く掘り下げ、近代思想に大きな影響を与えた。
英文
“God creates out of nothing. Wonderful you say. Yes, to be sure, but he does what is still more wonderful: he makes saints out of sinners.”
日本語訳
「神は無から創造する。素晴らしいことだと言うだろう。たしかにそうだが、もっと驚くべきことがある。それは、神が罪人から聖人を作り出すことだ」
解説
この言葉は、キリスト教的存在論と信仰による変容の可能性を語ったものである。無からの創造は、天地創造を思わせる神の絶対的力の象徴であるが、キェルケゴールはそれよりもさらに驚くべき行為として、人間の内面的変容を挙げている。つまり、人間という罪深い存在が、神の恩寵によって聖なる者へと変えられることに、より深い神の働きを見出しているのである。
この思想は、19世紀の実存主義的神学の一環として理解すべきである。キェルケゴールの時代、合理主義的な信仰理解が支配的であったが、彼はその風潮に抗して、個人と神との直接的な関係を重視した。罪人が聖人になるという逆説的な出来事は、まさに人間の理解を超える神秘であり、神の介入なしには成し得ないとする立場がある。
現代においてもこの言葉は、希望や再生の象徴として読み解かれる。たとえば、過去に過ちを犯した者が更生し、社会や他者に貢献する生き方を選ぶような例に重ねられる。人間の変化を信じ、そこに神や超越的な力の作用を見る姿勢は、宗教を超えて人間の可能性と倫理的成長を考える上での普遍的な視点を提供している。
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