「すべての不幸が一つの山に積まれ、そこから皆が平等に分け取らねばならないとしたら、ほとんどの人は自分の不幸をそのまま持って立ち去るだろう」

- 紀元前470年頃~紀元前399年
- 古代ギリシャのアテナイ(アテネ)出身
- 哲学者
英文
“If all misfortunes were laid in one common heap whence everyone must take an equal portion, most people would be contented to take their own and depart.”
日本語訳
「すべての不幸が一つの山に積まれ、そこから皆が平等に分け取らねばならないとしたら、ほとんどの人は自分の不幸をそのまま持って立ち去るだろう」
解説
この名言は、自分の不幸が他人よりも重いと感じがちな人間の傾向を逆説的に諭す警句である。ソクラテスは、他人の苦しみを本当の意味で理解することは難しく、比較してみれば自分の境遇も耐えうるものだと気づくと示唆している。つまり、人は他者の不幸の実態を知らないまま、自分だけが苦労していると錯覚することが多いという洞察である。
この思想は、ソクラテスの「自己省察」と「普遍的人間理解」への関心と一致している。彼は人間の心の在り方を対話を通じて明らかにし、自らの感情や思い込みを相対化することで、より賢明な判断が可能になると考えた。この名言は、人間が不満や嫉妬から解放されるためには、他者と比較するのではなく、まず自分自身の運命を受け入れることが出発点であると示している。
現代においてもこの言葉は有効である。SNSやメディアを通じて他人の「幸福そうな表面」だけを見て、自分の人生を過小評価する傾向が強まっている中で、実際に他人の不幸と交換するかと問われれば、多くの人は自分の境遇を選ぶであろう。この名言は、比較の罠から抜け出し、自己の人生を受け入れ肯定することの大切さを教えてくれる。
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