「最も深い欲望からは、しばしば最も恐ろしい憎しみが生まれる」

ソクラテスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
ソクラテスの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 紀元前470年頃~紀元前399年
  • 古代ギリシャのアテナイ(アテネ)出身
  • 哲学者

英文

“From the deepest desires often come the deadliest hate.”

日本語訳

「最も深い欲望からは、しばしば最も恐ろしい憎しみが生まれる」

解説

この名言は、人間の情熱や欲望が、満たされないときに転じて強烈な憎悪へと変わる危険性を警告している。ソクラテスは欲望を否定するのではなく、それが理性に導かれないまま暴走すれば、人間の魂に深い混乱と悪をもたらすと考えていた。とりわけ、最も強く求める対象が手に入らないとき、その失望は嫉妬や怒り、そして憎しみへと変質しやすいという人間心理の暗い側面が指摘されている。

この考え方は、ソクラテスの倫理観における「魂の調和」の概念とも一致する。欲望、激情、理性という魂の三要素のうち、理性が支配しなければ、欲望は破壊的な方向へ進む。深い愛が裏切られたときの激しい憎悪や、強烈な野心が阻まれたときの破壊的反応などは、まさにこの言葉の実例である。最も激しい情熱は、最も危険な悪へと変わりうるという道徳的警句である。

現代においても、この名言は感情のコントロールと自己理解の重要性を説くものとして通用する。失恋、裏切り、野心の挫折など、強い欲望の不達成はしばしば他者への攻撃や自己破壊的行動に転化する。ソクラテスのこの言葉は、欲望の力を正しく理解し、それを理性によって制御することの倫理的・心理的意義を、普遍的なかたちで私たちに教えてくれる。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る