「誕生という行為は最初の不安体験であり、それゆえ不安という感情の源であり原型である」

ジークムント・フロイトの名言
ジークムント・フロイトの名言
  • 1856年5月6日~1939年9月23日
  • オーストリア帝国(現在のチェコ)出身
  • 神経科医、精神分析学者、思想家
  • 精神分析学の創始者として知られ、無意識、夢分析、エディプス・コンプレックスなどの概念を提唱。20世紀の心理学、文学、哲学に多大な影響を与えた。

英文

“The act of birth is the first experience of anxiety, and thus the source and prototype of the affect of anxiety.”

日本語訳

「誕生という行為は最初の不安体験であり、それゆえ不安という感情の源であり原型である」

解説

この名言は、不安という感情が人間の生の最初から深く結びついていることを示す、フロイトの古典的理論に基づく洞察である。彼は、胎内という完全に保護された環境から外界へと突然放り出される誕生の瞬間を、極限的な断絶と苦痛を伴う経験として捉えた。この体験こそが、後に生じるあらゆる不安の感情的原型(プロトタイプ)となるという。

この考えは、フロイトの精神発達理論における一次不安(Urangst)という概念に関係している。誕生によって経験される圧倒的な変化とそれに伴う身体的・感覚的な衝撃は、後の人生での不安の感情が生起する際の無意識的な参照枠となりうる。つまり、人は新たな状況や変化、喪失に直面するたびに、誕生の記憶になぞらえた不安を再体験していると解釈できるのである。

現代の心理学においても、不安の起源や身体反応との結びつきは研究されており、たとえば外的刺激への過敏さや境界喪失への恐れが、出生体験と類似した構造を持つことが指摘されている。この名言は、人間が「世界に生まれること」そのものを不安の原点として抱えているという、精神分析ならではの根源的な問いかけを内包している。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る