「雑色や随身は、少し痩せて細身であるのがよい。男はやはり若いうちは、それなりに引き締まっているのがよい。あまり太っていると、眠たそうに見えてしまう」

- 966年頃~1025年頃(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、随筆家
原文
「雑色、随身は、すこし痩せてほそやかなるぞよき。男は、なほ若き程は、さるかたなるぞよき。いたく肥えたるは、いねぶたからんと見ゆ」
現代語訳
「雑色や随身は、少し痩せて細身であるのがよい。男はやはり若いうちは、それなりに引き締まっているのがよい。あまり太っていると、眠たそうに見えてしまう」
解説
この一節は『枕草子』において、男性の理想的な体型や美意識に関する率直な意見を述べたものである。清少納言は、雑色(宮中の雑務を行う下級役人)や随身(貴族の護衛)について、やや痩せて細身であることを好ましいとし、さらに若い男性も引き締まった体型であることを評価している。一方、肥満した男性は「いねぶたからんと見ゆ」、つまり「眠たそうに見える」として否定的に評している。ここには、見た目が印象に与える影響への鋭い感覚が表れている。
平安時代の宮廷文化では、衣装や体型の美意識が重要であった。当時、男性は直衣や狩衣を着用していたため、体型の線がある程度反映された。また、肥満はゆとりの象徴でもあったが、清少納言はそれを「だらしなさ」「活力のなさ」と結びつけて批判している。この点に、彼女の審美眼と、実用的な観察が交わる特徴的な感性を見ることができる。
現代においても、この感覚は共感を呼ぶ。例えば、スポーツ選手やモデルにおいて、適度に引き締まった体型が評価されるのは同じである。この一文は、外見と印象の関係が時代を超えて重要であること、そして「理想の姿」を求める感覚の普遍性を示しており、千年前の価値観が現代にも通じていることを教えてくれるのである。
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