「遠いようで近いもの――極楽。舟の通る道。人と人との関係」

清少納言の名言(画像はイメージです)
清少納言の名言(画像はイメージです)
  • 966年頃~1025年頃(諸説あり)
  • 日本出身
  • 作家、随筆家

原文

「遠くて近きもの 極楽。舟の道。人の仲」

現代語訳

「遠いようで近いもの――極楽。舟の通る道。人と人との関係」

解説

この一節は『枕草子』の「遠くて近きもの」の段に含まれ、距離や関係における逆説的な感覚を簡潔に表現したものである。清少納言は、「極楽」「舟の道」「人の仲」という三つを挙げ、それぞれに「遠いようで近い」という印象を与えている。この言葉は、物理的・精神的距離の捉え方の不思議さを鮮やかに示している。

「極楽」は、仏教において死後に行く浄土であり、時間的にも空間的にもはるか遠いもののように思えるが、信仰心一つで近づけるとされた。「舟の道」は、水面を隔てて遠く見えるが、舟に乗れば容易に渡れることを意味する。そして「人の仲」は、近くにいても心が離れていれば遠く、逆に遠方にいても心が通じ合っていれば近いという、人間関係の心理的距離感を表している。

現代においても、この感覚は共感できる。遠い夢や理想が、考え方次第で近づくことがあり、また、物理的な距離があっても、SNSなどを通じて心が近くなることもある。この一文は、距離の概念が単なる物理的なものではなく、心や手段によって変化するという普遍的な真理を端的に言い表した名句であり、千年前と同様、現代にも強い示唆を与えているのである。

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