「将来が遠く感じられるもの……生まれたばかりの赤ん坊が大人になるまでの年月」

清少納言の名言(画像はイメージです)
清少納言の名言(画像はイメージです)
  • 966年頃~1025年頃(諸説あり)
  • 日本出身
  • 作家、随筆家

原文

「ゆくすゑはるかなるもの・・・・・・産れたるちごの大人になる程」

現代語訳

「将来が遠く感じられるもの……生まれたばかりの赤ん坊が大人になるまでの年月」

解説

この一節は『枕草子』の「ゆくすゑはるかなるもの」の段に含まれ、時間の長さを感覚的にとらえた表現である。清少納言は、赤ん坊が生まれたときに、その子が大人になるまでの道のりがあまりに遠く思えることを「ゆくすゑはるかなるもの」と述べている。ここには、成長という変化の大きさと、そこにかかる時間の重さを直感的に感じ取る人間の心理が表れている。

背景には、平安時代の生活感覚がある。当時、乳幼児の死亡率は高く、子どもが無事に成長すること自体が大きな期待と不安を伴うものであった。そのため、「大人になるまで」という言葉には、単なる時間の長さだけでなく、無事を祈る切実な思いが含まれていたと考えられる。さらに、人生の不確かさを意識する宮廷文化の中で、長い年月を予測することは「はるか」な感覚として強く心に残ったのである。

現代においても、この感覚は共感を呼ぶ。小さな赤ん坊を抱きながら、「この子が成人するのは何年先だろう」と思うとき、同じように遠い未来を感じる。この一文は、時間と成長に対する人間の感覚が千年を経ても変わらないことを示し、普遍的な感情を簡潔に言い表した名句であるといえる。

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