「中断されやすいもの……精進の日の勤行。遠い所への急ぎの用事」

- 966年頃~1025年頃(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、随筆家
原文
「たゆまるるもの 精進の日のおこなひ。とほきいそぎ」
現代語訳
「中断されやすいもの……精進の日の勤行。遠い所への急ぎの用事」
解説
この一節は『枕草子』の「たゆまるるもの」の段に含まれ、続けることの難しさや計画が崩れやすい事柄を端的に示している。清少納言は、仏教的な戒律に従って行う精進の日の行事や、遠方への急ぎの用事が、中断されやすく、思いどおりにならないと述べている。ここでの「たゆまるる」は「途切れる」「中断される」という意味であり、人の意志や計画が外的要因によって容易に崩れる現実を指摘している。
背景には、平安時代の生活習慣や宗教観がある。当時、貴族たちは仏教行事や参詣を日常に取り入れていたが、長時間にわたる勤行や遠方への移動は、天候や人の都合によって妨げられることが多かった。また、移動手段が限られていたため、遠出は特に困難と隣り合わせであった。このような事情を踏まえ、清少納言は「物事は計画通りにはいかない」という現実を、簡潔で鋭い言葉にまとめている。
現代においても、この感覚は共感できる。ダイエットや学習など、長く続ける努力は中断されやすく、遠方への旅行や出張も、予期せぬ事情で延期になることがある。この一文は、計画と現実のギャップに対する人間の普遍的な経験を表し、千年前と変わらぬ課題を示唆しているのである。
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