「ひたすら過ぎ去っていくもの――帆をかけて走る舟。人の年齢。春、夏、秋、冬の四季」

- 966年頃~1025年頃(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、随筆家
原文
「ただ過ぎに過ぐるもの 帆かけたる舟。人の齢。春、夏、秋、冬」
現代語訳
「ひたすら過ぎ去っていくもの――帆をかけて走る舟。人の年齢。春、夏、秋、冬の四季」
解説
この一節は『枕草子』において、時間の流れと無常観を端的に表した名文である。清少納言は、速やかに過ぎていくものとして「帆をかけた舟」「人の齢」「四季」を挙げている。「ただ過ぎに過ぐる」という表現には、止めようもなく流れ去るという、時間に対する諦観と感嘆の入り混じった感情が込められている。
平安時代の人々は、四季の移ろいや人生のはかなさを強く意識しており、これらは和歌や随筆における主要なテーマであった。帆船の速さは、視覚的に時間の儚さを象徴するものであり、これを人生や季節に重ねることで、変化と流転を避けられない人間の運命を示唆している。この視点は、当時の貴族文化に深く根づいた無常観と美意識の表れといえる。
現代においても、この感覚は共感できる。時の流れは誰にとっても止められず、年齢や季節の移ろいを実感する瞬間は多い。この一文は、人生の短さと時の価値を意識させ、今を大切に生きることの意味を思い起こさせる。千年前のこの言葉は、現代の私たちにも「時を惜しむ心」を鮮やかに伝えているのである。
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