「興ざめなもの……大きな子どもがたくさんいて、場合によっては孫がはいはいしそうな年齢の人たちが、親同士で昼寝をしていること」

- 966年頃~1025年頃(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、随筆家
原文
「すさまじきもの・・・・・・おとななる子どもあまた、ようせずは、孫なども這ひありきぬべき人の親どち昼寝したる」
現代語訳
「興ざめなもの……大きな子どもがたくさんいて、場合によっては孫がはいはいしそうな年齢の人たちが、親同士で昼寝をしていること」
解説
この一節は『枕草子』の「すさまじきもの」の段に含まれ、場違いな行動や年齢との不釣り合いによる違和感を端的に表現している。清少納言は、すでに成長した子どもを持つ親同士、あるいは孫が生まれてもおかしくない年齢の者が、昼寝をしている様子を「すさまじきもの」、つまり「興ざめで不似合いなもの」と評している。この視点には、平安貴族社会における年齢感覚と役割意識が反映されている。
当時、昼寝は身分や生活様式によってニュアンスが異なったが、若者や子どもの無邪気な行為と見なされる傾向があった。そのため、成熟した大人、しかも子や孫のいる立場の人が昼寝をする姿は、社会的な役割や年齢との不調和を感じさせ、優雅さを欠く行為と見なされたのである。清少納言はこうした違和感を鋭くとらえ、軽妙な批評として記している。
現代でも、この感覚はある程度共感できる。例えば、親や祖父母世代が若者のような行動をとると、微笑ましくも違和感を覚えることがある。この一文は、時代を超えて存在する「年齢とふるまいのバランス」への意識を示し、平安時代の価値観と現代の感覚をつなぐ興味深い視点を提供しているのである。
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