「めったにないもの、舅にほめられる婿。また姑にかわいがられるお嫁さん」

- 966年頃~1025年頃(諸説あり)
- 日本出身
- 作家、随筆家
原文
「ありがたきもの 舅にほめらるる婿。また姑に思はるる嫁の君」
現代語訳
「めったにないもの、舅にほめられる婿。また姑にかわいがられるお嫁さん」
解説
この言葉は『枕草子』の「ありがたきもの」の段に見られる一文である。ここでいう「ありがたきもの」とは、「めったにないもの」「実現が難しいもの」を意味する。清少納言は、当時の貴族社会における婚姻関係の微妙さを的確に表現している。舅や姑との良好な関係は、今も昔も難しいものであり、平安時代も例外ではなかった。
当時の結婚制度は妻問い婚で、嫁が夫の家に住むことは少なく、夫が妻の実家を訪ねる形であった。しかし、やがて夫婦関係が安定するにつれ、婿や嫁が相手方の親族との交流を持つようになり、そこでの人間関係が問題となる。舅にほめられる婿、姑に愛される嫁は、家同士の関係を円滑にする重要な存在でありながら、現実には実現しにくい理想像であったのである。
現代においても、この言葉は共感を呼ぶ。結婚生活において、配偶者の親と良い関係を築くことは依然として重要であり、時には難しい課題となる。清少納言のこの一文は、時代を超えて人間関係の本質が変わらないことを示し、理想と現実のギャップに対するユーモアと洞察を伝えているのである。
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