「すべての教義を明白で正しいものにするのは何か。年二百ポンドほどである。そして以前に真理とされたものを再び虚偽にするのは何か。さらに二百ポンドである」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”What makes all doctrines plain and clear? About two hundred pounds a year. And that which was proved true before, prove false again? Two hundred more.”
日本語訳
「すべての教義を明白で正しいものにするのは何か。年二百ポンドほどである。そして以前に真理とされたものを再び虚偽にするのは何か。さらに二百ポンドである」
解説
この言葉は、人間の信念や教義が経済的利益によって容易に左右されるという辛辣な皮肉である。二百ポンドという金額は18世紀イギリスにおいては相当な収入であり、学者や聖職者が立場を変えるには十分な誘惑となり得た。つまり、真理や正義とされるものも、金銭によって解釈が変わることを示している。
当時のイギリス社会では、教会や学問がしばしば権力や金銭と結びついていた。聖職者が教義をどう説くか、学者が何を「真理」と断じるかは、しばしば経済的な庇護や地位に依存していた。ジョンソンは、この現実を鋭く批判し、金が思想や信仰を操作する様を風刺的に描いたのである。
現代においても、この指摘は色褪せない。例えば学問の研究成果やメディアの報道が、資金提供者やスポンサーの意向によって歪められることは少なくない。真理や道徳が独立して存在するのではなく、しばしば経済的力に従属するというこの皮肉は、今日の社会にもそのまま適用できる。ジョンソンの批判は、今なお鋭い普遍性を持っているのである。
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