「もし想像力というものがなければ、男は侍女の腕の中にいても公爵夫人の腕の中にいるときと同じくらい幸福であろう」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”Were it not for imagination a man would be as happy in arms of a chambermaid as of a duchess.”
日本語訳
「もし想像力というものがなければ、男は侍女の腕の中にいても公爵夫人の腕の中にいるときと同じくらい幸福であろう」
解説
この言葉は、人間の欲望や満足が現実の対象そのものよりも、想像力によって形づくられるという深い心理的洞察を示している。身分や地位の高い相手に惹かれるのは、実際の性質や感情ではなく、社会的イメージや理想像といった「頭の中で作られた価値」が多くを占めている。ジョンソンは、幸福の感じ方は客観的事実ではなく、主観的な思い込みに左右されることを指摘しているのである。
18世紀のイギリス社会は階級構造が明確であり、公爵夫人のような高位の女性は憧れや理想の象徴とされた。しかし、ジョンソンはそのような社会的幻想に警鐘を鳴らし、身分に惑わされず本質を見よという逆説的な真理を語っている。この言葉には、啓蒙時代の理性主義と人間性の観察が融合している。
現代においても、この言葉は鋭い。広告やSNSによって作られたイメージに惹かれ、人は実体以上の魅力を感じることがある。恋愛や欲望もまた、想像によって大きく脚色される。ジョンソンのこの言葉は、人の幸福や恋慕の本質が、想像力という虚構に大きく依存しているという普遍的な真理を明快に語っているのである。
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