「怠け者であることと貧しいことは常に非難の的であり、ゆえに人は誰しも、貧しさを他人から、怠けを自分自身から、懸命に隠そうとする」

サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
サミュエル・ジョンソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1709年9月18日~1784年12月13日
  • イギリス出身
  • 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家

英文

”To be idle and to be poor have always been reproaches, and therefore every man endeavors with his utmost care to hide his poverty from others, and his idleness from himself.”

日本語訳

「怠け者であることと貧しいことは常に非難の的であり、ゆえに人は誰しも、貧しさを他人から、怠けを自分自身から、懸命に隠そうとする」

解説

この言葉は、貧困と怠惰が社会的にも内面的にも恥とされる文化的背景を鋭く突いている。ジョンソンは、人が他人の目を気にして貧しさを隠す一方で、自分自身に対しては怠けているという事実を認めたがらないという、自己欺瞞の構造を見抜いている。つまり、人は他者の評価と自己評価の双方を恐れ、見せかけの勤勉や豊かさを装う傾向があるという人間心理を批判的に捉えているのである。

この観察は18世紀のイギリス社会において特に重みを持っていた。勤労と成功が徳と結びついて評価される風潮の中で、怠け者や貧者は道徳的にも劣る存在とみなされた。したがって、表面上の体裁を保つことが、生き残るための戦略となったのである。ジョンソンは、そうした社会の偽善性と、人間の脆弱な自己認識を突いている。

現代においても、経済的成功や「多忙さ」が人の価値と結びつけられる風潮は依然として強い。SNS上での成功の演出、また自分は忙しいと信じ込もうとする心理などは、この名言の指摘する構造と共通している。ジョンソンの言葉は、真の自己理解と謙虚さの重要性を、今なお我々に問いかけている。

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