「酒を飲んで初めて良くなるような怠惰な人間もいる。熟して腐りかけて初めて美味しくなる果物があるように」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”There are some sluggish men who are improved by drinking; as there are fruits that are not good until they are rotten.”
日本語訳
「酒を飲んで初めて良くなるような怠惰な人間もいる。熟して腐りかけて初めて美味しくなる果物があるように」
解説
この言葉は、一見だらしなく無能に見える人間が、酒によってようやく本来の力を発揮することもあるという逆説的な観察を含んでいる。ジョンソンは決して飲酒を無条件に称賛しているわけではないが、酒が人の性質を変化させる触媒のような役割を果たすことがあることを皮肉混じりに指摘している。
ここで比較されるのは、熟れすぎて腐敗寸前の果物のほうが美味であるという現象である。これはすなわち、通常の状態では平凡か無価値と思われる存在が、ある条件の下でだけ異常なほど魅力を放つという皮肉であり、人間の多様性と変化の不思議さを映している。
この言葉は、現代における創造的な人々や芸術家が、アルコールや薬物によって自己解放を経験する現象にも通じるが、同時にそれは不安定で危うい依存でもある。ジョンソンのこの比喩は、そうした人間の脆さと偶発的な才能の発露に対する知的ユーモアと警戒心をあわせ持ったものである。
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